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東 日出夫 -小椀- 展/Hideo Azuma 漆


2007.12.20 [thu.] – 12.27 [thu.]
H.P.のタイトルを、あえて『漆アート』と題していることからも察せるように、東さんは、漆の伝統工芸の技術をもって、アートに通じる感覚表現を狙っているアーティストです。
蒔絵の技法による錫の金属的な仕上げ、文様としての古文字や中原中也の詩、落書きと称する火山灰によるレリーフ状の抽象文様、虫喰いの彫り模様など、、、
どれをとっても、とにかく独創的です。
そして、いずれも器という領域を超えて人を魅了します。
かつてから、東さんは『文字』に特別な興味を持っています。
特に、ルーツが想像しやすい甲骨文字に魅せられていました。
ある時、故 白川静さんの本に出会い、改めて漢字の根源的な意味合いを知らされ、いたく感銘を受けたようです。
白川静さんは“漢字に至る文字の起源は、実は神事にあった”という説を、ずっと貫き通していらっしゃる学者さんです。
「人類の生活や精神世界の深層まで辿り着こうとする、雄大な構想と信念にうらづけされ、学者としての責任感と人類愛に満ち溢れています」と、白川さんに対する敬意の念が、東さんのH.P.に記されています。
そして、白川さんを『漢字人類学者』と自ら命名しています。
「たかが漢字ですが、たった一つの文字を取り上げただけでも、その背後には人類の無限の生活と精神世界が横たわっています」とも、書き添えらています。
「今までは、お椀の中にこの文字がどんな面積で入っていたら、グラッフィック的に絵になるのか? というデザイン的な感覚で制作していたのですが、白川さんの研究を知る程に、その文字のもともとの背景を知らされ、文字に託された風景みたいなものを感じるようになりました」と、語る東さん。
古文字のもっている必然的な発生の意味に心引かれながら、食材、行為、五感と『食』にまつわる漢字が、東さんによってひとつひとつ選ばれ、お椀に描かれています。
いつになく肩の力がぬけていて“食に感謝”と、掌にしみじみと漆を感じる、銘々使いの小椀展です。

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